2005.02.13

文才が欲しいのはこんな時

「ノッキング オン ヘブンズ ドア」というドイツ映画の話

あまり知られていないと思いますが、すごく魅かれる映画です。でもその魅力を言葉でうまく伝えるのはむつかしい。

あらすじを無理に書くとしたら、こんな感じ。

主人公は、ちょっと乱暴なマーチンと、しょぼいけど誠実なルディ。この二人の男が出会ってから数日間の物語。
二人は同じ病院に緊急入院したときに出会います。余命わずかの患者として。

性格の全く異なる二人ですが意気投合します。病室でみつけたテキーラを飲みながら、マーチンがこんな事をいいます。
「しっているか、今、天国では海の話をするのがはやってるんだ。」
ルディーが言います。
「僕は海をみた事がない。」
二人は、病院を抜け出し車を盗んで海を見にいく旅にでます。ところがその車は大金をつんだギャングの車で、このため二人は、警察とギャングの両方から追われる事になります。その大金でぜいたくしたり、銀行強盗や銃撃戦に巻き込まれたり、ギャングに捕まったりしたはてに、二人は冬の海にたどり着きます。一本の酒瓶を手に、冷たく激しく打ち寄せる海を言葉もなく眺めながら、二人は互いの友情を胸に最後の時を迎えます。


暗そうでしょ。ドイツ映画という事もあるし。実際、カラーなのにモノクロをみたような印象が残ります。
でも、どっちかというとコメディーテイストです。BGMも明るい曲ばかりです。

死を覚悟し、ただ海をみたいという思いだけで行動する二人ですが、許された残り時間を陽気に、やけになる事もなく生き、そして死を前にしても人を思いやる優しさを失いません。その優しさが、ばかげた銃撃戦との対比で、かえって浮き彫りになるかのようです。最後にちょっとだけでてくるギャングの大ボスも、たぶん本当は天使で、死にいく若い二人にやさしい言葉をかけます。

それに、あちこちにちょっとつつ登場する女性たちがとても印象的です。さほどセリフもないのに、みんな強い印象を残していきます。二人の優しさの象徴のようにも感じました。

ドイツ映画というとちょっと堅苦しそうな先入観をもちますが、全体にやわらかい演出で、結構、無意味なセクシーショットもあったりします。この映画に限りませんが、ヨーロッパ映画って、ハリウッドものより日本人に近いものがある気がします。

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2005.01.29

たまには映画の話なぞ

ひさしぶりに映画を見に行きました。旬はずれの「オーシャンズ12」

続編だし、メンバーもコンセプトも同じなので、全編読み筋ではありましたが、お気楽な作品でまあ楽しめました。
でも、Brad PittとCatherine Zeta-Jonesのファン以外には特にはお勧めしません。

ただ、オーシャンたちのライバルになる François Toulourの役をやったVincent Casselが目を引きました。これからきっと頭角を表すと思います。要チェックです。フランス人で、役者としてのキャリア自身は長いのですが、ハリウッド作品で中心的な役は今回が始めてみたいです。「インタビュー ウィズ バンパイアー」のときのバンデラスを思い出します。ちょっとにているし。


それにしても、アメリカはオリジナルを作る力が弱くなったような気がします。「なんとか2」,「なになに3」とかが多し、「エアポート」、「アビエーター」、「レイ」、「ネバーランド」も実話か実在の人物をベースにしています。しまいには日本のホラーをまるごとパクる始末。

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2004.10.03

無人の野をいく

映画の紹介なぞ。 

    「英雄」

御存知、ジェット・リー主演の中国映画です。期待せずにみたんですが、思いの外の面白さでした。
映像の非現実的な美しさ、(すくなくとも私には)濃すぎるしつこいアクションシーン、とにかく物量で表現する迫力。日本映画ならはじめから目指さないものがそこにあります。

たとえば、三国志演義で、武将の圧倒的な強さを表現するときに、敵の大軍に単騎で突入したのに「あたかも無人の野を行くようであった。」という表現があります。「英雄」にこのまんまのシーンがでてきて、この表現が、現代中国でも圧倒的な強さの表現として生きているのが分かります。ばかばかしいほどの強さで、笑いそうになりますけど。


映画の本筋とは離れるのですが、実はこの映画をおもしろいと思った理由は、秦王(のちの始皇帝)の存在です。日本では、悪逆な独裁専制君主の代表のような印象がありますが、この映画の秦王は、王者としても人間としても尊敬に値する人物として書かれています。ジェットリーの演じる無名も、秦王の真の姿に接し、ある事を決心します。

最近中国では始皇帝の再評価が進んでいると聞いた事があったのですが、本当のようです。

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2004.10.01

たまには映画の話なぞ

ビデオでちょっといい映画をみました。

   「幸せになるためのイタリア語講座」

デンマーク映画。原題はたぶん「初心者のためのイタリア語」とかです。

平凡な、でも少しつつ不幸を背負ったひとたちが、それぞれのきっかけからやすっぽいイタリア語講座に集まってきます。最近妻を無くした牧師、母親のアル中になやむ美容師、障害のせいで仕事を転々としていて、今はパン屋ではたらく女性、レストランを首になって失業中の元サッカー選手、ある女性に恋しているのに不能になやむ男。そんな人たちが、イタリア語講座での出会いといくつかの葬式をきっかけに、ほんの少し幸せな新しい人生を手にいれます。

それぞれ悩みをもち、それでも人に優しくできる強さをもった平凡な人たちが、誠実に前向きに生きていく、大人のラブストーリーです。いい人しかでてこない上にな〜んにもおきませんが、見終わってなんか気持ちがすっきりします。他人に腹をたてている時にみるといいかも。


(映画のおもしろさを書くのってむつかしい。)

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2004.05.16

英国映画だもの

映画Green Fingersのつづき
英国産の映画がすきで、探してよくみます。数は少ないのですが、印象的な作品に出会います。

英国映画のひとつの特徴は、なんの解決にもなっていないエンディング、じゃないかと思います。いろんな事があって、つらい現実はそのままだけど、それでも僕らはいきていく、てな感じです。

典型的なのが、「トレイン・スポッティング」。麻薬中毒の若者たちの話です、ラストシーンは、主人公が太陽の光のなか、元気にあるいていく姿で終わっています。でも、本人も麻薬中毒のままで仕事もないし、仲間のひとりは刑務所いき、別の一人は麻薬でしんでしまっています。でも、僕は今日も元気にいきていく、というしめです。

「ブラス」もそんな映画です。全国コンクール優勝をめざすアマチュアブラスンバンドの話で、美しい音楽が印象的な映画です。さまざまな困難の末に、主人公達は栄冠をつかみ、バスで意気揚々と故郷に帰っていくのがエンディングです。でも、故郷でメンバーそれぞれをまっているのは、鉱山の閉山と失業と離婚、それに近づく死。コンクールで優勝しても、現実は何一つ変っていません。それでも主人公たちは、「威風堂々」と帰っていくのです。

「Green Fingers」も、評価されながらも、服役囚である現実を逃れられませんでした。ただ、この映画の場合は、英国ならではの反則技で、最後にちょっと幸せになります。


「フル・モンティ」はこてこてのハッピーエンドですが、でもあれは米国資本がまじってるからなあ。

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緑の指

英国にはgreen fingersという言葉があります。

    He has green fingers.

とか、使うようです。
日本語にはぴったりとした言葉がないのですが、上のフレーズなら、「魔法のように上手に花を育てる。」、つまり「ガーデニングに関しての天与の才をもっている。」、というような意味になります。このような専用の言葉があるというのが、いかに英国でガーデニングがみじかで重要な文化であるかを示しているように思います。


さて、好きな英国映画で「Green Fingers」というのがあります。

殺人罪で服役中の囚人が、ふとした事でガーデニングの魅力にふれ、刑務所内にガーデンを作り始めます。そして所長や友人の協力によって、次第に才能を開花させていきます。すばらしいガーデンを作る囚人たちの話は次第にひろまっていき、ついに、ハンプトン宮殿で開催されるガーデニングコンクールに出展する機会を与えられる事になります。これは女王陛下も出席する非常に格式の高いコンクールです。彼らの作品は好評でしたが、結局、彼らは賞を得る事はできませんでした。しかし、別な形で大変な栄誉を受ける事になり、宮殿の中を作業服のまま誇らしげに歩く主人公達の姿で、映画は終わります。

映画ですからいろんなセカンドストーリーがあるのですが、基本的に実話だってところが、英国のおもしろいところです。

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